砂防学会北海道支部

砂防学会北海道支部の活動を紹介するページです


H26年9月11日に土石流が発生した恵庭岳ポロピナイ川

支部長あいさつ

【砂防学会北海道支部設立にあたって】

昨年から今年にかけて、政府の土砂災害対策に大きな動きが3点あります。

1点目は、昨年6月に災害対策基本法が改正され、これまで土砂災害は、「その他の異常な自然現象」として扱われていましたが、第一章第二条に、「崖崩れ」「土石流」「地滑り」が明記されました。このことは、近年大規模な土砂災害が多発し多くの犠牲がはらわれことから、土砂災害対策が政府の重点課題の一つに位置付されたと言えます。 2点目は、今年の広島や礼文島などで頻発する土砂災害に対して、国の都道府県や市町村への支援の努力義務や土砂災害危険区域の指定促進など盛り込んだ土砂災害防止法の改正案が、今国会で重要法案として審議がなされていることです。 3点目は、10月から中央防災会議に「総合的な土砂災害対策検討ワーキング」が設置され、行政と国民が一体となった土砂災害対策の推進方策が検討され始めていることです。

一方、改正災害対策基本法第二条に「二」として新たに「基本理念」が示され、その中で「科学的知見及び過去の災害から得られた教訓を踏まえて絶えず改善を図ること」が記載されました。言うまでもなく、砂防学会は土砂災害を専門に扱う日本で唯一の学会であり、その学会活動は「産・官・学」が共通の場で、先ほどの基本理念を実行する組織そのもと考えています。

このような中、24時間監視の必要な9つの活火山、褶曲山脈、新第3紀の地質など土砂移動の活発な素因を有する北海道において、在住会員の理解と賛同を得て砂防学会初の支部として、関西地区と並んで北海道に支部を発足できたことは大変意義深く感じています。

支部活動は、当面の間、「災害時の緊急調査」と「若手技術者の育成」に重点を置いていますが、これまでに述べた行政・国民、支部にあっては道民の期待に応えるように活動の範囲を広げていく考えでいます。会員の皆様にはご協力を切に願うところであります。また、非会員の方々には砂防に関する情報提供を本ホームページにおいて行うことにしていますので、ご活用していただければ幸いです。

砂防学会北海道支部支部長
南 哲行
北海道大学大学院農学研究院国土保全研究室